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第四回 いま、中国は

二十年近くにわたって中国を撮り続けている。ここ二、三年は、NHKのシルクロードを中心に、年に二、三回は取材に出向いている。

ご存知のように、北京や上海など大都市で生活している大半の人たちの生活は東京の人たちと変わらないほど豊かになっているが、じつは国としては、ごくごく一部の人たちのことであり、十五億人近いといわれているうちの、わずか七、八パーセントにすぎない。残りの十三億以上の人たちは、おそらくその日暮らしの不安な日々だと思う。

私が見ていただきたいのは、そうした普通の人たちであり、また、そうした人たちがいまの中国を支えている、ということでもある。不思議なことに、そうした人たちの顔は美しくイキイキしていて、美しい風土に同化するように、日々を生きている。そうした人々に出会うと、はたして今の日本の日々の生活は私を含めて、真の幸せなのか、疑問をもたざるをえないことが多々ある。

今回のキヤノンギャラリーでの展覧会は、私のそうしたメッセージでもある。ご覧いただいて、多くの意見を聞かせてもらえるとうれしい。