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第三回 日常を視る

日常を視る。私も日々の生活のなかで、いろいろなものを見ている。見ることに慣れすぎて、逆に、見ていても見えていないことが多いようだ。

いま、私はテレビの前に坐っている。画面は消えているが、真っ暗な画面の中に日常のいろんな出来事が、頭の中で走馬灯のように流れては消えていく。“今”という時代は日々、大きな事件があり、1か月も日本にいないと、もともとそんなことがあったのか、と思うくらい様変わりしている。それだけに、しっかりものを視るということが、いかに必要かと言える。

テレビの前にいろいろなものが置かれている。普段テレビを観ているときには、なかなか気づかないが、画面を消してみて初めて自分の眼に入ってくるものもある。それくらい、私たちの眼はあいまいでもあるのだ。それゆえに、一瞬一瞬をしっかり視つめることをもう一度、大切にしようと思う。