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第二回 正月の旅

昨年暮れの25日からお正月の6日まで、2週間あまり中国・桂林を拠点に、陽朔、龍勝、三江、程陽、肇興などを巡った。

今回はかなり奥地まで入ったが、ご存じのように中国は旧正月で、今年は日本の1月29日がこちらのお正月にあたる。したがって、1月1日の元旦は貴州省の肇興にいたが、普段とまったく変わらない静かな1日だった。家屋が800戸、人口4000人ぐらいの小さな小さな村である。こんな名もないところで新しい年を迎えるのも、これはこれで期するものがある。

私はいつも旅の中程で必ず体調を崩す。今回も疲れで風邪気味で、スタッフの堺君から薬をもらい、連日、飲むことになった。この村に着いたのが午後1時ごろだったが、2時ごろから村の広場で主に若者達15人ぐらいが民族衣装を着て、何代もこの村に伝わる伝統的な儀式を踊ってくれるという。さっそく私たちはこの儀式を撮る。素朴だがどこかつつましい美しさがあった。

長い伝統にもとづく踊りであることは、私たちにも素直に伝わった。何代にもわたって年輩者から受け継がれることは、村のためにも、あるいは年輩者と若者をつなぐという意味でも大切なことであり、それが村の絆にもなるのだ。

単なる儀式ではないのである。

 

2006年2月1日